- 1. 1. エグゼクティブサマリー
- 2. 2. モデルの系譜とアーキテクチャ分析
- 2.1. 2.1 基盤アーキテクチャ:Animagine XL 4.0 の役割
- 2.2. 2.2 マージコンポーネントのマトリクス
- 2.3. 2.3 sd-mecha による高度なマージ技術
- 2.4. 2.4 ライセンスと「レシピ公開」の義務
- 3. 3. 美学的分析:「鉛筆画(Pencil Style)」のパラダイム
- 3.1. 3.1 テクスチャシミュレーションと線の強弱
- 3.2. 3.2 比較分析:4nima vs. Illustrious vs. Pony
- 3.3. 3.3 「スケッチ」の潜在空間
- 4. 4. プロンプトエンジニアリングとトリガー戦略
- 4.1. 4.1 「トリガーワードなし」の真実
- 4.2. 4.2 推奨されるポジティブプロンプト
- 4.3. 4.3 ネガティブプロンプト
- 4.4. 4.4 キャラクタータグの取り扱い
- 5. 5. 技術設定と最適化パラメータ
- 5.1. 5.1 サンプラーとスケジューラの選択
- 5.2. 5.2 CFGスケール (Classifier-Free Guidance)
- 5.3. 5.3 解像度とアスペクト比
- 5.4. 5.4 VAE (Variational Autoencoder)
- 6. 6. ワークフロー統合:ComfyUI から WebUI まで
- 6.1. 6.1 ComfyUI ワークフロー
- 6.2. 6.2 アップスケーリング戦略
- 6.3. 6.3 LoRA との互換性
- 7. 7. 比較ベンチマークと市場ポジション
- 7.1. 7.1 4nima vs. Blue_Pencil-XL
- 7.2. 7.2 4nima vs. NoobAI-XL
- 8. 8. 結論と展望
- 8.1. 付録:クイックリファレンスガイド
- 9. 引用文献
1. エグゼクティブサマリー
生成AI、とりわけStable Diffusion XL (SDXL) のエコシステムにおけるアニメーションスタイルのモデル開発は、単なるファインチューニングの時代から、高度なチェックポイントマージ技術を駆使した複合的なアーキテクチャの構築へとパラダイムシフトを遂げている。この潮流の中で、4nima_pencil-XL v1.0.1 は、SDXL 1.0ベースのモデル群の中でも特異な地位を確立している 1。本モデルは、「Animagine XL 4.0」という堅牢な解剖学的基盤と、鉛筆画(Pencil Style)特有のテクスチャ表現を融合させたハイブリッドモデルであり、デジタルイラストレーションにおける「アナログ感」の再現において極めて高い評価を得ている 1。
本報告書は、4nima_pencil-XL v1.0.1 の技術的特性、構成要素の系譜、プロンプトエンジニアリングの最適解、および競合モデルとの比較優位性を包括的に分析したものである。特に、本モデルが採用するライセンス形態「Fair AI Public License 1.0-SD」が示唆するオープンソースコミュニティへの影響や、sd-mecha を用いた複雑なマージレシピの技術的背景についても詳述する 1。
分析の結果、4nima_pencil-XL は単なるスタイル変換モデルではなく、Animagine XL 4.0 由来の高度なキャラクター認識能力と、Neta-Noob や Illustrious コンポーネントによる美的調整が高度にバランスされた実用的なツールであることが明らかとなった。ユーザーはトリガーワードを必要とせず、適切なサンプラー設定(Euler a等)とDanbooruタグ形式のプロンプトを用いることで、即座に高品質な鉛筆画風の出力を得ることが可能である 1。
2. モデルの系譜とアーキテクチャ分析
4nima_pencil-XL の性能を理解するためには、その構成要素と、それらがどのように統合されたかという「系譜」を解体する必要がある。本モデルは単一のデータセットで学習されたものではなく、複数の高性能モデルの重みを数学的に合成した「チェックポイントマージ」である 1。
2.1 基盤アーキテクチャ:Animagine XL 4.0 の役割
4nima_pencil-XL の中核を成すのは、Animagine XL 4.0 である 1。これは技術的な運用において決定的な意味を持つ。Animagine XL 4.0 は、SDXL 1.0 をベースに大規模なアニメーションデータセットでファインチューニングされたモデルであり、特に人体構造(Anatomy)の正確さと、広範なキャラクター知識において定評がある。
4nima_pencil-XL が Animagine XL 4.0 をベースに採用したことで、以下の技術的利点が継承されている:
- Danbooruタグへの準拠: 自然言語(Natural Language)ではなく、Danbooru形式のタグ(例: 1girl, school_uniform, white_hair)によるプロンプト制御に最適化されている 4。これにより、具体的かつ詳細な要素の指定が可能となる。
- 高解像度バケツ(Resolution Bucketing): SDXL ネイティブのマルチアスペクト比学習に対応しており、1024x1024 以上の解像度でも構図が破綻しにくい 6。
- 解剖学的整合性: 鉛筆画スタイル等の抽象的な画風モデルは、しばしば人体の整合性を犠牲にする傾向があるが、Animagine の強力なベースモデルが骨格となり、デッサン崩れを防いでいる 7。
2.2 マージコンポーネントのマトリクス
Civitai のメタデータおよび関連ドキュメントによると、4nima_pencil-XL の構築には以下の主要なチェックポイントが使用されている 1。
| コンポーネント名 | 推定される役割と貢献 |
|---|---|
| Animagine XL 4.0 | 全体的な構造、解剖学的知識、キャラクターデータベースの基盤。 |
| Neta-Noob v1.0 | "Neta" データセット由来の特定のアートスタイルや構図知識の補強。 NoobAI系はプロンプト追従性が高い反面、画風に癖があるが、これをマージで緩和している。 |
| anima_pencil-XL-v5.0.0 | 本モデルの前身バージョン。 確立された「鉛筆画」のテクスチャウェイトを提供する。 |
| illustrious_pencil-XL-v2.0.0 | "Illustrious XL" ベースの派生モデル。 Illustrious 特有の鮮やかな色彩感覚を、鉛筆画のタッチに変換して統合している 9。 |
| SD-XL 1.0-base | ベースモデルとしての汎用性を維持し、過学習(Overfitting)による破綻を防ぐアンカーとしての役割。 |
この構成は、単に「画風」を混ぜただけでなく、Animagine の「知識」と Pencil 系の「表現力」を、SD-XL base で「正規化」するという戦略的な意図が見て取れる。
2.3 sd-mecha による高度なマージ技術
4nima_pencil-XL の特筆すべき点は、その作成に sd-mecha (ComfyUI向けのメモリ効率的なモデルマージツール) が使用されていることである 1。これは、単純な加重平均(Weighted Sum)だけではない、複雑な演算が行われたことを示唆している。
公開されている情報や同作者の傾向から、以下の手法が用いられたと推測される:
- Task Arithmetic (Train Difference): ファインチューニングされたモデルとベースモデルの「差分」を抽出し、それを別のモデルに適用する手法。これにより、illustrious_pencil の「鉛筆の質感」という特徴ベクトルのみを抽出し、Animagine のボディに移植することが可能となる 1。
- Cosine Merging: 重みベクトルの方向性を考慮したマージ手法であり、スタイルの特徴を維持しつつ、モデルの言語理解能力(Semantic Understanding)を破壊しないために有効である。
- Slerp (Spherical Linear Interpolation): 球面線形補間を用いることで、モデル間の特徴を滑らかにブレンドし、マージモデル特有のノイズや劣化を最小限に抑えている。
2.4 ライセンスと「レシピ公開」の義務
本モデルは Fair AI Public License 1.0-SD の下で公開されている 1。これは、AIモデルの透明性を担保するための重要なライセンス形態である。
- マージレシピの共有義務: このライセンスは、4nima_pencil-XL を使用して新たなマージモデルを作成・公開する場合、その「マージレシピ(配合比率や手法)」を共有することを求めている(MUST/SHOULD条項) 1。これはソフトウェアにおけるコピーレフト(Copyleft)に近い概念であり、コミュニティ内での知見の共有を促進する意図がある。
- 生成物の権利: 生成された画像に関しては制限がなく、商用利用を含めた自由な利用が可能である 1。
3. 美学的分析:「鉛筆画(Pencil Style)」のパラダイム
4nima_pencil-XL の最大の価値提案は、その独自の視覚的署名(Visual Signature)にある。標準的なアニメモデルが「デジタル作画」や「セルシェーディング」、あるいは「3Dレンダリング調」を目指すのに対し、本モデルは 2.5D的な伝統的画材のシミュレーション を志向している。
3.1 テクスチャシミュレーションと線の強弱
「Pencil」という名称が示す通り、このモデルの重みは以下のような視覚的特徴を出力するようにバイアスがかけられている:
- 可視化されたストロークアーティファクト: デジタルペイントの均一な塗りではなく、紙に黒鉛が乗ったような粒子感(Grain)やノイズパターンを意図的に生成する。
- 可変的な線の太さ(Line Weight): 均一なベクター線ではなく、筆圧の変化を感じさせる「入り」と「抜き」のある線を描画する。
- 彩度の抑制とアナログ感: カラープロンプトを入力した場合でも、彩度が高すぎない、色鉛筆や水彩画のような淡い色調(Desaturated Palette)を好む傾向がある 10。
3.2 比較分析:4nima vs. Illustrious vs. Pony
現在のアニメ系SDXLモデル市場において、4nima_pencil-XL の立ち位置を明確にするため、主要な競合モデルと比較を行う 9。
| 特徴 | Pony Diffusion XL | Illustrious XL | 4nima_pencil-XL |
|---|---|---|---|
| ベースアーキテクチャ | 独自改良 SDXL (NovelAI系譜) | SDXL (Danbooru特化) | Animagine XL 4.0 マージ |
| プロンプト追従性 | 極めて高い (Scoreタグ依存) | 高い (Tagベース) | 高い (Animagine準拠) |
| 美的バイアス | 西洋的 / デジタル / 厚塗り | 「カラー漫画」的 / フラット | アナログ画材 / スケッチ / ソフト |
| 解剖学的精度 | 優秀だが硬い印象 | 良好だが時折崩れる | 良好 (Animagine譲り) |
| 色彩傾向 | 高コントラスト / 高彩度 | 鮮やか / 漫画トーン | パステル / 低彩度 / テクスチャ |
| 最適な用途 | 複雑な構図、NSFW、厳密な指示 | 一般的なアニメ絵、漫画のコマ | 芸術的なポートレート、ラフ画風 |
インサイト: ユーザーレビューにおいて、Illustrious XL はプロンプト追従性が高いものの、画質が「平坦(Flat)」で「魅力を欠く(Ugly)」場合があると指摘されている 12。4nima_pencil-XL は、この Illustrious の弱点に対し、意図的なテクスチャ(鉛筆の質感)を上書きすることで解決を図っている。平坦さは「紙の質感」として再解釈され、情報の欠落は「スケッチの味」へと昇華されている。
3.3 「スケッチ」の潜在空間
SDXL のプロンプト研究において、pencil sketch, graphite, charcoal といった単語は、画像の色の複雑さを減らし、線情報を強調する特定の潜在空間ベクトルをトリガーすることが知られている 10。4nima_pencil-XL は、これらのベクトルがベースラインに組み込まれている状態と言える。したがって、ユーザーは「スケッチ風」にするためにプロンプトを足す必要はなく、逆にリアルな質感を求める場合に 3D, hyperrealistic といったプロンプトでこのバイアスを「打ち消す」必要がある。
4. プロンプトエンジニアリングとトリガー戦略
マージモデル、特に 4nima_pencil-XL のようなスタイル特化型モデルを使用する際、ユーザーが最も混乱するのは「トリガーワード」の有無と、効果的なタグ付け戦略である。
4.1 「トリガーワードなし」の真実
Civitai のモデルページやユーザーフィードバックにおいて、「トリガーワードが見当たらない」という混乱が散見される 2。
- 事実: 研究資料に基づくと、4nima_pencil-XL は特定のトリガーワードを必要としない 1。
- メカニズム: 本モデルはグローバルなチェックポイントマージであり、LoRAのように特定のトークンにスタイルが紐付けられているわけではない。モデル全体が「鉛筆画スタイル」にシフトしているため、デフォルト状態でその画風が適用される。
- 運用上の注意: Civitai Helper などの自動メタデータ取得ツールを使用しても、トリガーワード欄は空白となるが、これは不具合ではなく仕様である 15。
4.2 推奨されるポジティブプロンプト
最高品質の出力を得るためには、ベースモデルである Animagine XL 4.0 のプロンプトガイドラインに従うことが推奨される 3。
必須の品質系タグ(Quality Tags):
Animagine は Danbooru のスコアリングシステムに基づき学習されているため、以下のタグが画質向上に直結する。
- masterpiece
- best quality
- high score
- great score
- absurdres (Absurd Resolution: 超高解像度)
基本テンプレート:
masterpiece, best quality, high score, absurdres, 1girl, [キャラクター名], [衣装], [アクション], [背景]
スタイルの強化(オプション):
モデルの特性をさらに強調したい場合、以下のタグを追加する:
- traditional media (伝統的画材)
- sketch (スケッチ)
- monochrome (モノクロ:白黒の鉛筆画にしたい場合)
- pencil (medium)
- watercolor (水彩:鉛筆のテクスチャと相性が良い)
4.3 ネガティブプロンプト
SDXL は SD1.5 に比べてネガティブプロンプトへの依存度は低いが、アニメ系モデルにおいては「低品質な学習データ」の影響を排除するために依然として重要である 6。
Animagine/4nima 推奨ネガティブ:
lowres, bad anatomy, bad hands, text, error, missing finger, extra digits, fewer digits, cropped, worst quality, low quality, low score, bad score, average score, signature, watermark, username, blurry
インサイト: signature(署名)、watermark(透かし)、username(ユーザー名)が含まれている点に注目されたい。Neta-Noob や Danbooru のデータセットには、アーティストが自身の作品にサインを入れた画像が含まれている。4nima が生成する「手描き風」の画像は、AIにとって「サインがあるべき絵」と解釈されやすく、これらのネガティブプロンプトを入れないと、存在しない作家のサインが幻覚(Hallucination)として描画されるリスクが高い。
4.4 キャラクタータグの取り扱い
Animagine ベースであるため、キャラクター名はアンダースコア区切りの Danbooru タグ形式で記述する必要がある。
- 正: hatsune_miku, souryuu_asuka_langley
- 誤: Hatsune Miku from Evangelion
自然言語形式(DALLE-3スタイル)のプロンプトは、トークナイザーによる分解が学習データと一致しないため、キャラクターの特徴(衣装や髪型)の再現度が著しく低下する 4。4nima_pencil-XL は Animagine の知識ベースを継承しているため、主要なアニメキャラクターであれば、LoRAなしでも正確に描画し、かつそれを鉛筆画スタイルに変換することが可能である 5。
5. 技術設定と最適化パラメータ
4nima_pencil-XL で高品質な画像を生成するためには、単にプロンプトを入力するだけでなく、生成パラメータの微調整が不可欠である。「鉛筆のテクスチャ」は、サンプラーの設定次第では単なる「ノイズ」として処理されてしまう危険性がある。
5.1 サンプラーとスケジューラの選択
拡散モデルにおけるサンプリングプロセスと、モデルが持つテクスチャ情報の相互作用は極めて重要である。
- 推奨: Euler a (Euler Ancestral) または DPM++ 2M SDE Karras 9。
- 理由: 末尾に a や SDE が付くサンプラーは、各ステップで確率的なノイズ(Stochastic Noise)を注入する「祖先サンプラー(Ancestral Sampler)」である。4nima が目指す「スケッチの粒子感」や「手描きの揺らぎ」を再現するためには、このノイズ注入がプラスに働く。
- 非推奨: Euler や DDIM などの決定論的サンプラーは、画像を平滑化(Smooth)する傾向があり、鉛筆のザラつきを「除去すべきノイズ」として処理してしまい、のっぺりとしたデジタル画像になりやすい。
- ステップ数: 25 ~ 35 ステップ。
- 20以下では描画が未完成(線が途切れる)になりやすい。
- Ancestral系サンプラーで40以上にすると、詳細が変化し続け、画像が安定しない場合がある。
5.2 CFGスケール (Classifier-Free Guidance)
- 推奨範囲: 4.0 ~ 7.0 9。
- 最適値: 5.0 付近。
- 技術的背景: CFGスケールを高く(>8.0)設定すると、プロンプトへの忠実度は上がるが、コントラストが過剰に強調され、画像が「焼ける(Burn)」現象が発生する。4nima_pencil-XL は、淡いトーンやソフトな遷移を特徴としているため、高いCFGは致命的である。繊細な鉛筆のタッチを維持するには、低めのCFGが推奨される。
5.3 解像度とアスペクト比
SDXL ベースのモデルであるため、SD1.5 の標準であった 512x512 での生成は推奨されない。空間的な破綻や詳細の欠落を招く 6。
ターゲット解像度:
- 正方形: 1024 x 1024
- ポートレート: 832 x 1216 (約 2:3) または 896 x 1152
- ランドスケープ: 1216 x 832 または 1152 x 896
これらの解像度は SDXL の学習時に使用された「バケツ(Buckets)」と一致しており、最適な構図が得られる。
5.4 VAE (Variational Autoencoder)
モデルのハッシュ情報 AutoV2 は、標準的な SDXL VAE との互換性を示唆している 1。
- 推奨: SDXL 1.0 公式 VAE (sdxl_vae.safetensors) または Animagine XL 4.0 推奨の VAE。
- 警告: SD1.5 用の VAE(vae-ft-mse-840000など)は絶対に使用してはならない。これらは SDXL とは潜在空間の圧縮率やチャネル数が異なるため、砂嵐のようなノイズ画像が出力される原因となる 20。
6. ワークフロー統合:ComfyUI から WebUI まで
6.1 ComfyUI ワークフロー
制作者がマージに ComfyUI を使用していることから、このモデルは ComfyUI 環境での動作が最も安定していると考えられる 1。
- Checkpoint Loader: 4nima_pencil-XL_v101.safetensors をロードする。
- Text Encoders: SDXL は2つのテキストエンコーダ(CLIP G と CLIP L)を使用する。アニメ系モデルである 4nima は、タグ情報を処理する CLIP L への依存度が高い。プロンプトは両方のエンコーダに適切に入力するか、ComfyUI の標準的な CLIP Text Encode (SDXL) ノードを使用して連結する必要がある。
- Refiner (リファイナー): SDXL Refiner の使用は推奨されない。 公式の Refiner は写実的なノイズ除去を行うように訓練されており、これを使用すると 4nima が生成した「鉛筆の質感」がきれいに除去され、ただの滑らかな絵になってしまう 11。
6.2 アップスケーリング戦略
鉛筆画スタイルのアップスケールは、通常のデジタルイラストよりも難易度が高い。一般的なアップスケーラー(R-ESRGAN 4x+ 等)はノイズ除去(Denoising)を強力に行うため、鉛筆の粒子感を消してしまうからである。
- 推奨手法: Image-to-Image (Img2Img) アップスケール(Low Denoise)。
- 手順: 低解像度で生成 -> 1.5倍~2倍に拡大 -> 同じプロンプトと**同じチェックポイント(4nima)**を使って Img2Img をかける。
- Denoising Strength: 0.3 ~ 0.4。これにより、構図を変えずに細部(鉛筆のタッチ)を再描画させることができる。
- アップスケーラーモデル: 4x-UltraSharp または R-ESRGAN 4x+ Anime6B 23。
- 注記: 線画を強調しすぎるモデルは避ける。
6.3 LoRA との互換性
4nima は Animagine XL 4.0 ベースであるため、以下の LoRA と互換性がある。
- SDXL Base 1.0 用 LoRA
- Animagine XL 用 LoRA
- Pony Diffusion V6 用 LoRA(一部互換性あり、重み調整が必要な場合も)。
インサイト: 4nima は強力な「画風(Style)」を持っているため、「画風LoRA(例:油絵風LoRA)」を使用すると、チェックポイントの重みと衝突し、結果が破綻する可能性がある。一方で、「キャラクターLoRA」や「衣装LoRA」との相性は良好である。プロンプトで sketch of [Character] と指定することで、LoRAで学習されたキャラクターを鉛筆画スタイルに落とし込むことができる 2。
7. 比較ベンチマークと市場ポジション
7.1 4nima vs. Blue_Pencil-XL
制作者である blue_pen5805 氏は、姉妹モデルとして Blue_Pencil-XL も公開している 8。
- Blue_Pencil: 「リアル系アニメスタイル」を志向。線画はクリーンで、デジタル彩色に近い。
- 4nima_pencil: 「ラフで表現力豊かなスタイル」を志向。テクスチャが強く、アーティスティック。
- 結論: 設定資料のような明瞭さが必要なら Blue_Pencil、感情表現やアートワークとしての雰囲気が重要なら 4nima を選択すべきである。
7.2 4nima vs. NoobAI-XL
NoobAI-XL(Illustriousファミリーの一部)は、特定のバイアス(巨乳化、ブラー効果など)が強く、制御にはネガティブプロンプトでの打ち消しが必須となる場合がある 9。
- 観測: ユーザー評価では、4nima_pencil-XL は NoobAI よりも「安全(Safe)」で、標準的な体型プロポーションを出しやすいとされている。また、鉛筆のテクスチャが NoobAI 特有の「ブラー(ぼやけ)」を「柔らかい陰影」として視覚的にカモフラージュする効果も果たしている。
8. 結論と展望
4nima_pencil-XL v1.0.1 は、SDXL アニメ系モデルのエコシステムにおいて、「Tier-1(第一線級)」のニッチモデルとしての地位を確立した。本モデルは、AI生成特有の「プラスチック感(ツルツルした質感)」を、伝統的な画材のテクスチャを強制的に適用することで排除することに成功している。
総括:
- アーキテクチャの勝利: Animagine XL 4.0 の堅牢性と、カスタム美的スライダー/チェックポイントの融合は、sd-mecha による高度なマージ技術の賜物である。
- 運用性: Danbooru タグと Ancestral サンプラーの組み合わせにより、誰でも手軽に高品質な鉛筆画を生成できる。
- オープン性: Fair AI Public License による「レシピ公開義務」は、ブラックボックス化が進むマージモデル界隈において、技術的透明性を担保する重要な一石となっている。
- トリガー不要: スタイルが重みそのものに内在しているため、LoRA管理の煩わしさから解放される。
推奨事項:
手描きのスケッチ、漫画のラフ画、あるいは柔らかい雰囲気のキャラクターコンセプトアートを生成したいアーティストや開発者にとって、4nima_pencil-XL は現在利用可能な選択肢の中で、Animagine や Pony の素の状態よりも優れた結果を提供する。特に 1024px クラスの高解像度でも「ラフな描線」が維持される点は、デジタルクリーンなモデルでは後処理なしには再現不可能な独自の強みである。
付録:クイックリファレンスガイド
| パラメータ | 推奨設定 | 備考 |
|---|---|---|
| Sampler | Euler a / DPM++ 2M SDE | テクスチャ維持のためAncestral推奨 |
| CFG Scale | 5.0 | 7.0を超えないこと |
| Steps | 25 - 30 | 40以上は変化が激しくなる可能性あり |
| Resolution | 832x1216 (Portrait) | SDXLのバケツ解像度に準拠 |
| Trigger | なし | スタイルはモデルに内包されている |
| Positive | masterpiece, best quality, 1girl | Danbooruタグを使用 |
| Negative | lowres, bad anatomy, username | Animagine標準ネガティブを使用 |


以上
引用文献
- 4nima_pencil-XL - v1.0.1 | Stable Diffusion XL Checkpoint | Civitai, 1月 21, 2026にアクセス、 https://civitai.com/models/1205141/4nimapencil-xl
- Trigger Word when creating a LORA - Feedback - Civitai, 1月 21, 2026にアクセス、 https://feedback.civitai.com/p/trigger-word-when-creating-a-lora
- easygoing0114/animagine-xl-4.0-opt_clear - Hugging Face, 1月 21, 2026にアクセス、 https://huggingface.co/easygoing0114/animagine-xl-4.0-opt_clear
- Illustrious XL 1.0 comparison against other up-to-date anime models. | Civitai, 1月 21, 2026にアクセス、 https://civitai.com/articles/11668/illustrious-xl-10-comparison-against-other-up-to-date-anime-models
- [XL] Sadamoto Yoshiyuki/贞本义行《新世紀エヴァンゲリオン》/《EVANGELION》/《EVA》/《新世纪福音战士》 - Artist Style |AI Art LoRA Model & LoRA | PixAI, 1月 21, 2026にアクセス、 https://pixai.art/en/model/1738054505146957344/1738054507172806191
- cagliostrolab/animagine-xl-4.0 - Hugging Face, 1月 21, 2026にアクセス、 https://huggingface.co/cagliostrolab/animagine-xl-4.0
- Animagine XL 4.0 finetuned - v1.0 | Stable Diffusion XL Checkpoint - Civitai, 1月 21, 2026にアクセス、 https://civitai.com/models/1866935/animagine-xl-40-finetuned
- Create illustrious_pencil-XL-v1.0.1.md - Hugging Face, 1月 21, 2026にアクセス、 https://huggingface.co/bluepen5805/illustrious_pencil-XL/commit/93343941cb0e9df45475f9b3475cba4b17af0fdd
- illustrious_pencil-XL - v3.2.0 | Illustrious Checkpoint - Civitai, 1月 21, 2026にアクセス、 https://civitai.com/models/838773/illustriouspencil-xl
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- What prompts to turn a portrait into a pencil sketch? Android apps I use do a poor job. Can SD do better? : r/StableDiffusion - Reddit, 1月 21, 2026にアクセス、 https://www.reddit.com/r/StableDiffusion/comments/z50tpv/what_prompts_to_turn_a_portrait_into_a_pencil/
- Why don't trigger words download with Illustrious models but do for others like pony and SDXL? : r/civitai - Reddit, 1月 21, 2026にアクセス、 https://www.reddit.com/r/civitai/comments/1kfmkkq/why_dont_trigger_words_download_with_illustrious/
- How Do You Remember/Manage TRIGGER WORDS? The models are starting to get a lot, I doubt you have to check each time to use a model/LoRa... : r/StableDiffusion - Reddit, 1月 21, 2026にアクセス、 https://www.reddit.com/r/StableDiffusion/comments/158mz81/how_do_you_remembermanage_trigger_words_the/
- Some of my SDXL experiments with prompts : r/StableDiffusion - Reddit, 1月 21, 2026にアクセス、 https://www.reddit.com/r/StableDiffusion/comments/159rio2/some_of_my_sdxl_experiments_with_prompts/
- Optimizing Animagine XL 4.0: In-depth Guideline and Update - CagliostroLab, 1月 21, 2026にアクセス、 https://cagliostrolab.net/posts/optimizing-animagine-xl-40-in-depth-guideline-and-update
- Samplers, schdelue, CFG, steps and other settings : r/StableDiffusion - Reddit, 1月 21, 2026にアクセス、 https://www.reddit.com/r/StableDiffusion/comments/1k9qtj4/samplers_schdelue_cfg_steps_and_other_settings/
- 33 Fantastic SDXL v1.0 Prompts (Many Styles with Prompt Templates) - Aituts, 1月 21, 2026にアクセス、 https://aituts.com/sdxl-prompts/
- What is 1 trick in ComfyUI that feels ilegal to know - Reddit, 1月 21, 2026にアクセス、 https://www.reddit.com/r/comfyui/comments/1lbnbrx/what_is_1_trick_in_comfyui_that_feels_ilegal_to/
- Image2LineArt-Sketch - SDXL | ComfyUI Workflow - OpenArt, 1月 21, 2026にアクセス、 https://openart.ai/workflows/indras_mirror/image2lineart-sketch---sdxl/BMQ1ksyiuj6QdRzrjQJX
- 160+ Upscale Models for Realistic Photos, Anime & More [With Download Link] - Civitai, 1月 21, 2026にアクセス、 https://civitai.com/articles/7334/160-upscale-models-for-realistic-photos-anime-and-more-with-download-link
- Finally a high quality anime SDXL model... : r/StableDiffusion - Reddit, 1月 21, 2026にアクセス、 https://www.reddit.com/r/StableDiffusion/comments/194aty5/finally_a_high_quality_anime_sdxl_model/

