はじめに


AI画像生成は、あなたの心に描いたイメージを瞬時に形にする魔法のツールです。
しかし、特定のスタイル、特に「水彩風」などの繊細でアナログなタッチを再現するのは至難の業と感じる方も多いでしょう。

今回は、一枚のエレガントなファッションイラストを題材に、AI画像生成の可能性を徹底的に探求していきます。
この探求を通して、どんなモデルでも理想の「水彩風」イラストを生み出すための3つの秘技を解き明かします。


第1章:モデル選定とプロンプトの初期設計

[1-1. 課題の設定と汎用モデルの選択]


今回は、このエレガントな女性のイラストをテーマに、AI画像生成の可能性を探ります。


AI

このイラストは「ファッションイラストレーション」という独自のスタイルを持ち、「水彩の滲み」や「光の表現」など、AIにとって高い描写力と繊細なタッチが求められる課題を含んでいます。

また「女性、カフェ、アクセサリー」といった複合的な要素が調和している点も、AI生成における大きな課題となります。

ユーザー

このふんわりとした「水彩風」のタッチを出すのが難しいと感じています。
特定のモデルを使わなくても、再現できるのでしょうか? 

AI

はい、可能です 。

特定のモデルに頼らずとも、プロンプトにちょっとした工夫を加えるだけで、どんなモデルでも水彩画のような雰囲気を引き出すことができます 。

今回は、汎用性の高い「SDXL Nuclear General Purpose」のようなモデルを基準に、プロンプトの力を最大限に引き出します。

AI

汎用モデルを選ぶことは、プロンプトの重要性を深く探求することを意味します。
また、特定のモデルに頼りすぎずに、プロンプトの力だけで再現性を高めるのが目的です。

もし最初から水彩に特化したモデルを選んでいたら、プロンプトの微調整の重要性を見落としてしまうかもしれません。

まずは、この汎用モデル「SDXL Nuclear General Purpose」をベースに、核心となるプロンプトを構築していきましょう。

ユーザー

わかりました!
ではまず、このイラストを生成するための具体的なプロンプトの例から教えてください。

AI

承知しました。
画像を構成する要素と画風を具体的に指示した、基本となるプロンプトとネガティブプロンプトはこちらです。

【基本プロンプトとネガティブプロンプト】

項目具体的なプロンプト例役割
ポジティブ(masterpiece, best quality, detailed illustration), fashion illustration of an elegant woman in a stylish black dress with a ribbon, sitting at a cafe table, enjoying afternoon tea, vibrant turquoise jewelry, a glass of champagne, dessert, soft dappled light, watercolor and ink, chic and feminine style, graceful pose, serene expression, clean background主題、画風、雰囲気を網羅し、AIに理想のイメージを明確に伝えます。特に watercolor and ink で水彩のタッチを明確にしています。
ネガティブ(low quality, blurry, worst quality, ugly), disfigured, bad anatomy, bad hands, malformed limbs, extra limbs, poorly drawn face, mutated, boring, out of frame, cropped, signature, watermark, text品質の向上と、人体描写の破綻(特に手や顔)の防止、不要な文字の排除を目的とします。

[1-2. イラストの要素を網羅した基本プロンプトの構築 ]


AIに「水彩」という概念を正確に伝えるため、単に watercolor と入力するだけでなく、関連キーワードを組み合わせることから始めます。

項目プロンプト内容備考
品質・画風(masterpiece, best quality, detailed illustration), fashion illustration, watercolor and ink括弧で強調し、品質の底上げと、画風(水彩と線画)を明確に指定します。
主題・要素a glamorous woman wearing a stylish black dress with a ribbon, vibrant turquoise jewelry服装のディテール(リボン、ターコイズのジュエリー)を具体的に指示します。
状況sitting at a cafe table, enjoying afternoon tea, a glass of champagne, dessert, soft dappled light場所や要素、光の当たり方まで指定し、ムードを作り出します。
雰囲気chic and feminine style, graceful pose, serene expression, clean background優雅さや穏やかさといった、イラスト特有の感情的な要素を伝えます。

ユーザー

このプロンプトで生成した作例(SDXL Nuclear)を見ると、エレガントな女性像と水彩のタッチが美しく再現されていますね。

AI

ええ。
さらに、画像から除外したい要素をネガティブプロンプトとして設定することで、品質のばらつきを防ぎます。

ネガティブプロンプト目的
(low quality, blurry, worst quality, ugly)画像品質の破綻を防ぐ。
bad anatomy, bad hands, extra limbs, poorly drawn faceAIが苦手とする人体描写のミスを抑制する。
signature, watermark, text不要な文字や透かしが入るのを防ぐ。


使用モデル:SDXL Nuclear
SDXL/sdxlNuclearGeneralPurposeV3Semi_v30.safetensors


第2章:どんなモデルでも「水彩風」にする3つの秘訣

[2-1. 秘訣その1:キーワードを網羅する「魔法のプロンプト」]

AI

ここからが本題です。

特定のモデルに頼らず、どんなモデルでも「水彩画風の表現」を引き出すための最初の秘訣は、「水彩に関するキーワードの網羅」です。

ユーザー

どんな工夫が必要なのですか?

AI

最も重要なのは、AIに「水彩」という概念を正確に伝えることです。
ただ watercolor と入力するだけでなく、関連するキーワードを組み合わせることで、より理想的な表現に近づけることができます。

ユーザー

watercolorだけでなく、その質感を伝える言葉が重要ということですね。

AI

まさにその通りです。
以下のキーワードを組み合わせることで、AIは、より具体的に「水彩画」をイメージすることができます。

質感のキーワード

  • 基本のキーワード
    watercolor painting, watercolor style は必須です。

  • 質感と表現の追加
    • soft lighting:
       柔らかい光で、水彩特有のふんわり感を出します。
    • translucent:
       透明感や透け感を出すために加えます。
    • fluid, loose wash:
       絵の具が流れるような、筆の勢いを感じさせます。
    • delicate, subtle colors:
       繊細で優しい色合いを指示します。
    • paper texture:
       水彩紙のざらつき感を表現し、アナログ感を強調します。

その他、soft, delicate、wash, bleed(滲み、にじみ)、ink, linework(インク、線画)などの単語も効果的です。

ユーザー

なるほど。
これらの言葉を組み合わせることで、AIはより具体的に「水彩画」をイメージできるんですね。



[2-2. 秘訣その2:「滲み」と「ぼかし」を操るプロンプト]

AI

水彩画の大きな魅力である「滲み」や「ぼかし」も、プロンプトで制御できます。
特に、背景や光の表現にこれらの単語を使うと効果的です。

「滲み」と「ぼかし」を操るプロンプト

  • bokeh:
    被写界深度を浅くし、背景をぼかすことで、水彩画のような奥行きと柔らかさを生み出します。
  • splatter, splash:
    絵の具が飛び散る表現を加えることで、アナログ感を強調できます。
  • gradient, soft blend:
    色の移り変わりを滑らかにし、水彩特有のグラデーションを再現します。

これらの「滲み」や「ぼかし」の要素をプロンプトに加えることが、水彩の雰囲気を出すための重要なコツです。


[2-3. 秘訣その3:「モデルの特性」を理解して調整する]

AI

どんなモデルでも水彩画風にできますが、モデルの得意分野に合わせてプロンプトを調整すると、さらにクオリティが向上します。
これが3つ目の秘訣です。

ユーザー

モデルごとの「水彩」の解釈の違いを活用するわけですね。

AI

その通りです。

モデルごとの特性の違い

  1. リアル系・汎用モデル(例: SDXL Nuclear)の場合
    • 元々写実的な描写に強いため、watercolorやsoft lightingといった単語が、本物の水彩画のような「滲み」「ぼかし」として表現されやすいです。
    • 例プロンプト:
      realistic, beautiful girl, watercolor painting, soft lighting
  2. アニメ・イラスト特化モデル(例: Pony系 / Animagine XL など )の場合
    • 線の描写に強いため、watercolorは「アニメ風のクリーンな塗り方」として解釈されることが多いです。
    • リアルな滲みよりも、色と色の境目が曖昧で、淡いグラデーションがかったタッチとして表現されます 。
    • 例プロンプト:
      anime illustration, watercolor style, soft pastel colors

このように、モデルの得意な表現を理解し、プロンプトで水彩の要素を適切に指定することで、各モデルごとの特徴を活かした様々な「水彩風」イラストが生成できます。


第3章:最後の仕上げ - サンプラーと具体的な設定

[3-1. 画像の品質を決める「サンプラー」の選択]

ユーザー

プロンプトとモデルが完璧でも、他に設定すべき技術的な項目はありますか?

AI

はい。
画像の品質を最終的に決定づける「サンプラー」の選択は非常に重要です。

サンプラーは、AIがノイズから画像を生成する際の「手法」を決める、最後のピースです。
水彩画のような繊細な表現には、ディテールを重視するサンプラーが適しています。


【推奨設定例】

設定項目推奨値理由
サンプラーDPM++ 2M Karras安定性と品質のバランスが良く、繊細な筆致を再現するのに最適です。

水彩画のような繊細な表現には、DPM++ 2M KarrasやDPM++ SDE Karrasといった、ディテールを重視するサンプラーがおすすめです。
サンプリングステップ数30細かい描写と品質を確保するため、適切なステップ数を設定します。
CFGスケール7プロンプトへの忠実度を保ちつつ、AIの創造性も活かすバランスの良い値です。

その他の設定
Hirez fixやADitailerは無しで、シードはそのまま再生成を繰り返します。

[3-2. その他の技術的アドバイス]

AI

成功率を高めるために、以下の技術的な工夫も重要です。

  • LoRAの活用
    特定の画風に特化したLoRA(追加学習モデル)をベースモデルと組み合わせることで、より安定して理想的な水彩画風の画像を生成できます。
  • 非推奨モデル
    epicRearismなどのリアリズム重視のモデルでは、水彩特有の滲みやデフォルメ表現が難しくなる傾向があります。
    (例:epicRearismやyayoimix、Pony/BDPonyReal_V03g.safetensorsなど)
  • 生成オプション
    今回の作例では、Hirez fixやADitailerといった追加補正機能は使わずに、純粋なプロンプトと設定のみで勝負しています。

第4章:生成事例

以下は、上記のプロンプトで実際に生成された作例です。
全て同じ条件で、チェックポイントを変えて生成しています。

使用モデル:
fudukiMix_v20.safetensors
fudukiMix



使用モデル:
SDXL/sdxlNuclearGeneralPurposeV3Semi_v30.safetensors 
SDXL Nuclear



使用モデル:
animagine-xl-4.0.safetensors
Animagine XL

 

使用モデル:
sd_xl_base_1.0.safetensors SD XL Base



使用モデル:
v1-5-pruned-emaonly-fp16.safetensors



使用モデル:
dreamshaper_8.safetensors 



使用モデル:
revAnimated_v2Pruned.safetensors 



使用モデル:
Illustrious/novaAnime3dXL_v40.safetensors



使用モデル:
Pony/cyberrealisticPony_v127Alt.safetensors



使用モデル:
Pony/theDeepdark

    

使用モデル:
SDXL/4nimaPencilXL_v101.safetensors


使用モデル:
SDXL/cyberrealisticXL_v60.safetensors  



使用モデル:
SDXL/fudukiMix_v20.safetensors



使用モデル:
SDXL/realvisxlV50_v50LightningBakedvae.safetensors


まとめ

AI画像生成で「水彩風」の表現を出すには、以下の3つのコツが重要です。

3つのコツ

  1. 水彩に関するキーワードを網羅する
    watercolor painting、fluid、translucentなど、質感を表す単語を組み合わせる。
  2. 「滲み」や「ぼかし」をプロンプトに加える
    bokehやsplatterなど、アナログな表現を指示する。
  3. モデルの特性に合わせて表現を調整する
    リアル系かアニメ系かによって、プロンプトの調整を行う。


これらのテクニックは、今回の「水彩風」に限らず、あらゆるアートスタイルに応用できます。
AIは、あなたのアイデアを形にするための強力なツールに過ぎません。

このブログが、あなたの創作活動のヒントとなり、あなただけの美しい水彩風イラストを生み出すきっかけとなれば幸いです。