はじめに
今回は、音楽ライブやコンサートの瞬間をAI画像生成で再現してみました。
ステージを彩る照明、立ち込めるスモーク、宙を舞う紙吹雪や紙テープ。
こうしたダイナミックな特殊効果は、観客の熱狂と興奮を最高潮に高めるライブ演出の「華」です。
しかし、これらの要素をすべて盛り込み、臨場感あふれる一枚を生成するのは至難の業です。
特にリアル系のモデルでは、照明の光沢や煙の質感が本物のように再現される一方で、意図しない要素(例:花火)が強く出すぎたり、特定の要素(例:舞う紙吹雪)がうまく描かれないといった壁に直面します。
この記事では、SDXLベースのリアル系モデル「SDXL Nuclear」と「CyberRealistic XL」を使用した、特殊効果の表現に特化したプロンプトの「錬金術」をご紹介します。
第1章:モデル選定の理由と特性の比較

今回、ライブ演出という「ダイナミックさ」が求められるテーマで生成を始めるにあたり、私たちはSDXLの中でも特にリアルな質感と光の表現に優れた2つのモデルを選定しました。
1.1 選定モデルの強み
| モデル名 | スタイル | ライブ演出への効果 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| SDXL Nuclear v3 | セミリアル/アート融合 | 爆発的なエネルギー、力強い色彩、洗練されたライティング。 | ライブの「熱狂」やSF的な効果を出すのに最適。 |
| CyberRealistic XL | ハイパーリアル/実写寄り | リアルな煙の質感、肌や汗の表現、映画的な光沢。 | まるでその場にいるかのような「臨場感」を出すのに最適。 |

どちらのモデルも、プロンプトで「cinematic photo」や「volumetric spotlight」といったキーワードを指定することで、その強みを発揮し、高い没入感のある画像を生成することができます。
第2章:プロンプト錬金術!試行錯誤の全記録
ここからは、一枚の完成画像に至るまでのプロンプト調整の過程を、具体的にご紹介します。
2.1 最初の壁:花火がメインに、会場が屋外に

ライブの熱気を出すために、最初のプロンプトとして、まず「ロックバンド」「花火」「煙」「照明」といった初期キーワードを入れてみて生成してみました。
ですが、その結果、「花火がメインになりすぎてライブ感が薄れてしまう」という問題が発生しました。
また、プロンプトに場所の指定がなかったため、屋外コンサートのような雰囲気になってしまいました。


なるほど。
リアル系モデルは文脈を補完しがちなので、詳細な設定が必要です。
[AIによる修正 (1)]
- 花火の排除:
ポジティブプロンプトからfireworksとpyrotechnicsを削除し、それをネガティブプロンプトに追加。 - 会場の屋内化:
ポジティブプロンプトにinside a large indoor concert hallを追加。
ネガティブプロンプトにはoutdoor, open-airを追加。 - 演出の具体化:
confetti(紙吹雪)やstreamers(紙テープ)といった、ライブに必須の要素を追加。
2.2 第二の壁:アーティストと特殊効果の調整

次に、アーティストを「バンド」から「ダンスと歌のソロアーティスト」に変更したいです。
あと、生成された画像を見ると、紙吹雪が固形のブロックのように見えてしまい、不自然です。

承知しました。
ソロアーティストへの変更と、質感の調整を行います。
繊細な質感は、SDXLが最も得意とする領域です。
[AIによる修正 (2)]
- アーティスト変更:
a rock bandをa solo artist singing and dancingに変更。
ネガティブプロンプトにmusical instrument(楽器)を追加。 - 紙吹雪の質感:
raining confettiをraining down thin, paper-like confetti(薄い紙のような紙吹雪)に変更。
ネガティブプロンプトにsolid confetti(固形の紙吹雪)を追加。
2.3 第三の壁:地面ではなく「舞い」を強調する(最終調整)

紙吹雪や紙テープが地面に落ちているものが多く、空中に「舞っている」様子を強調したいです。

承知しました。
「躍動感」を出すには、「動き」を示すキーワードを強く指示することが必要です。
動きに関するキーワードを強調し、地面にある要素をネガティブプロンプトで徹底的に排除します。
この「動き」の表現こそ、SDXLの得意分野です。
[AIによる修正 (3) - 最終形へ]
- 躍動感の強調:
紙吹雪・紙テープのプロンプトを、 raining down...から、よりダイナミックなconfetti flying high in the air(空高く舞う紙吹雪)とstreamers floating mid-air(空中に浮かぶ紙テープ)に変更。 - 地面の排除:
ネガティブプロンプトにconfetti on the ground、streamers on the groundを追加。 - 光の表現:
volumetric spotlight, dynamic lighting, god rays, lens flareといった映画的なキーワードを加え、臨場感を極限まで高めます。
第3章:完成プロンプトとSDXLを活かす設定
3.1 最終的なプロンプト構成:ダイナミズムを追求した構成
幾度にもわたる対話と微調整の末に完成した、究極の「音楽ライブの特殊効果」プロンプトがこちらです。
ポジティブプロンプト
A high-energy, dynamic cinematic photo of a solo artist singing and dancing inside a large indoor concert hall, dramatic and epic, with thick clouds of `vivid color smoke`, `confetti flying high in the air`, and `streamers floating mid-air`.
`volumetric spotlight`, `dynamic lighting`, `god rays`, `lens flare`, wide shot, audience view from the back, high detail, masterpiece, 4k.
ネガティブプロンプト
low quality, worst quality, text, watermark, bad anatomy, extra limbs, blurry, fireworks, pyrotechnics, outdoor, open-air, balloon, musical instrument, confetti on the ground, streamers on the ground.
3.2 キーワードの力:ライティングと質感の解剖
| キーワード | 役割 | 解説 |
|---|---|---|
| cinematic photo | スタイル | 映画のようなドラマティックで高解像度な写真品質を要求します。 |
| solo artist singing and dancing | 主題とアクション | 躍動感を重視したアーティストのポーズを誘導します。 |
| god rays, lens flare | 光の芸術 | 光の筋(ゴッドレイ)やレンズの反射(フレア)を強制的に発生させ、臨場感と非日常的な雰囲気を演出します。 |
| volumetric spotlight | 特殊効果 | 煙や霧の中を光が通り抜ける「体積のある光」を指示。煙を可視化し、空間に深みを与えます。 |
| confetti flying high in the air | 動きの強調 | 紙吹雪が空中に留まり、地面に落ちていない状態を強く指示します。 |
| ネガティブ強化 | 排除 | fireworks, musical instrumentなど、不要な要素を完全に排除し、意図しない生成を防ぎます。 |
3.3 SDXL Nuclear / CyberRealistic XL 推奨設定(Automatic1111)
| パラメータ | 推奨値 | 理由 |
|---|---|---|
| モデル | SDXL Nuclear v3 または CyberRealistic XL V6.0 | リアルな質感と力強い色彩表現のため。 |
| サンプラー | DPM++ SDE Karras | 安定した高品質な出力と、リアルな質感表現に優れています。 |
| CFG Scale | 6〜7 | プロンプトの指示に忠実でありながら、自然な画作りを可能にするバランスの良い値です。 |
| ステップ数 | 25〜30 | DPM++ SDE Karrasは少ないステップでも十分な品質が出ます。 |
| VAE | vae-ft-mse-840000-ema-pruned.ckpt | 多くのSDXLモデルで安定した結果をもたらし、画像の鮮明度を向上させます。 |
第4章:プロの最終兵器!ADetailerによる微調整

完璧なプロンプトでも、生成の最後の最後でアーティストの顔が崩れたり、顔の周りに四角い境界線が残ったりすることがありました。これをどうにかしたいです。

はい。ライブの画像ではアーティストの表情が重要ですね。
しかし、生成の最後の段階で顔が崩れてしまうことがよくあります。
この問題を解決するのが「ADetailer(After Detailer)」という拡張機能です。
この修正こそが、AI画像生成におけるプロの技です。
4.1 ADetailerで顔の崩れと境界線を消す方法
| 問題 | ADetailerで解決するための設定 | 解決のメカニズム |
|---|---|---|
| 顔がつぶれる | Inpaint denoising strengthを0.25〜0.4に設定 | 修正強度を低く保ち、元の顔の形をベースに微調整する程度に留めます。 |
| 四角い境界線が残る | Inpaint mask blurを12〜15に設定 | マスクの境界線をぼかし、顔と周囲の画像との継ぎ目を滑らかにします。 |
| 最終的な調整 | Inpaint only maskedをオフにする | 顔の周りの光や色も考慮して再描画させ、顔が浮いて見えるのを防ぎます。 |
| SDXLの高品質化 | Use separate width/heightを1024x1024に設定 | SDXLネイティブの解像度で顔を再描画することで、小さな顔でもディテールを保ちます。 |

これらの設定を適用することで、生成の初期段階で得られた美しい顔立ちが、最終的な高解像度出力まで維持され、プロンプトの意図を完璧に反映した作品が完成します。

何度もプロンプトを調整していただいたおかげで、求めていた躍動感のある画像が作れました。
特に、光の表現やADetailerの細かい設定が、プロのノウハウだと感じました!

この知識が、あなたの次の傑作を生み出す一助となれば幸いです。
第5章:生成事例(CyberRealistic XL / SDXL Nuclear)
以下は、上記のプロンプトで実際に生成された作例です。
使用モデル:CyberRealistic XL




使用モデル:SDXL Nuclear



特にリアル系や実写寄りの画像生成に強い「CyberRealistic XL」や「SDXL Nuclear」といったこれらのモデルは、リアルな質感や光の表現、複雑な構図の再現に優れているため、ライブの特殊効果のような、ダイナミックで迫力のあるシーンの生成に非常に適しています。
もし、他のモデルで試す場合には、以下のポイントを参考にしてみて下さい。
他のモデルで試す場合のポイント
- SDXLベースのモデルを推奨
SDXLベースのモデルは、プロンプトの理解度が高く、より複雑な指示でも意図を反映しやすいです。
ただし、画風が全く違うモデル(例えば、アニメ調に特化したモデル)で試すと、ライブの迫力ある雰囲気ではなく、キャラクターがメインのイラスト風の画像になる可能性があります。
また、プロンプトの調整が必要になる場合もあります。
- リアル系・写真系に強いモデルを選ぶ
提示したプロンプトは「cinematic photo」(映画のような写真)や「dramatic and epic」(ドラマチックで壮大な)といったリアル系のキーワードを多用しています。
そのため、生成したい画像の雰囲気に合わせて、リアルな描写に強いモデルを選んでいただくのがベストです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回のSDXLでの挑戦では、プロンプトの「錬金術」と、ADetailerによる緻密な後処理が、ライブの熱狂的な瞬間を再現する鍵となりました。
リアル系モデルを使う際は、単語を並べるだけでなく、光の表現(god rays、lens flare)や動きの表現(flying high、floating mid-air)を具体的かつ詩的に記述することが、臨場感を高める最短ルートです。
今回の記事が、皆さんの創作活動のヒントになれば幸いです。
ぜひ、このプロンプトと設定を基に、皆さんもお気に入りのライブシーンをAIで再現してみてくださいね。
その作品が、誰かの心に響くような熱い一枚になることを願っています!
AI画像生成に関するさらに詳しい情報について、サイトの他のページもぜひチェックしてみてください。

